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第3回スキナベーブ赤ちゃんエッセイコンテスト

妊娠・出産、新しい生命の誕生に接して

  入選 一般部門
お母さん、見てあげて! 女性 28歳
 「赤ちゃんも頑張っているのよー!お母さん、見てあげて!!」分娩台の上で、まさに今赤ちゃんが顔を出したというその時に助産婦さんが私に言った。
えっ?でも、見るって言ったって、この体勢では・・・。それに、痛すぎるしこれ以上顔を持ち上げて下を覗き込むことなんて、無理。息のつき方さえ忘れてしまうほどの状況の中、声を振り絞って「見ぃ、れ、ま、せぇーん!」と私。
それでも助産婦さんは容赦しない。「苦しいのはあなただけじゃないの。赤ちゃんだって苦しいのよ。ほら、この頑張っている姿を見てあげなさい!」
そうか、痛さのあまり自分のことしか考えていなかった。何時間も狭い産道で出口を探しながら彷徨ってきた赤ちゃんは、真っ暗な中たった一人で闘っている。そしてあまりにも突然にこの見知らぬ明るい外の世界に出てきてしまったのだ。私なんかよりももっと苦しく、心細い思いをしている。母親である自分がしっかりしないでどうする。そう思った途端に妙なパワーが湧いてきた。これ以上ないと思っていた腹筋と腕筋に力が入る。
フンっと背中を丸め、下を覗き込む。
そこには私の体から半分だけ姿を見せている紫色の赤ちゃんが!!
あれれぇ??疲れきっているのか?クタッとなってしまっている。
「ガンバレ〜〜!!!」
痛みは一気に吹き飛んだ。
その瞬間、赤ちゃんの全身が私の体からスーッと抜け出た。か弱い産声が次第に大きくなっていく。
ああ、なんという衝撃的なご対面。
満足感と充実感。
そして、9ヶ月間も私の中にいたのに一度も会ったことがなかった赤ちゃんが自分の中から出てくる瞬間を見てしまったというどうにも抑えられない興奮。こんなことってあり得ない。助産婦さんのおかげで、私は27歳にして人生最高の瞬間を味わってしまったのかもしれない。勝手に流れてくる涙と、どうにも止めることができない笑い。
このとき、ふと思った。ああ、病み付きになりそうだ。

 あれから9ヶ月。へその緒が巻きついていたために何度も産道を行き来していた2810gの娘は、病気ひとつすることなくスクスクと育ち、10000gを突破(gを卒業し、kgを使用しなくては)。そして今ではそこら中の物に掴まりながら歩き回り、大人の顔色を伺いながらいたずらまでする。そうかと思うと今度は私の胸に顔をうずめ、安心しきった顔で眠ってしまう。この子がいることで大人は振り回され、そして癒される。すごいスピードで成長するあなたに負けないように、パパとママも頑張るよ。どんなことがあっても、初めて出会った瞬間を思い出すだけでママは幸せな気分になれるの。

でも、最近密かに思っていることがある。
そろそろもう一度あの時の感動を味わいたい・・・。
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