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入選 |
一般部門 |
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赤ちゃん友達
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女性 28歳 |
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もしも、今ひとつ願いが叶うなら、「同じ7ヶ月の赤ちゃんになりたい!」 と本気で最近よく思う。 キラキラ澄んだその目で、いつも何もみているのか?何気ない風景がいったい どんな風に見えるのか、それを赤ちゃんになって知りたいから。 「早く子供を産んだら?」「若いうちがいいわよ」と バイト先でパートのおばさま達がよく言っていたっけ。悪気もなく言っているとは分かっていても大学生の私にしたら、「そんなことを言われても、大きなお世話」と内心はベーッと舌をだしながら「そうですね。赤ちゃんカワイイですよね」とテキトーにかつ満面の笑顔でかわしていた。 しかし、<体力がある若いうちに産むのがいい>というあの時のおばさま達は正しかった。出産後一日目のベットの上でぼんやりそう思った。妊娠も出産も育児もこんなに重労働だったなんて、体験して初めて分かった。 「結婚適齢期という言葉自体どうかと思うし、高齢出産なんてよくある話だから別に何歳で産もうが個人の自由」と友達とはよくそんな話をしていた。でもでも、私は体力が ないので早く産むに限ると考えは変わった。 育児は体力勝負。2-3時間ごとの夜中の授乳。月齢より大きめの息子の抱っこやおんぶ。参加したことはないけれども体育会系の合宿のようだ。文化系部活しか入ったことのない私は、毎日ヘロヘロになりながら息子と向かい合っていた。 3ヶ月すぎた頃からだろうか、やっと生活のペースがつかめてきて育児を楽しめるようになってきた。赤ちゃんは毎日成長していく。首が座り、寝返り、ハイハイ、お座り。 どんどん色んなことが出来るようになって、ついこの間まで、仰向けてねむっていただけだったのに、今では何をするのかわからず目が離せない。転がっているおもちゃに すごいスピードのハイハイで突進していく。何が可笑しいのか、タオルを振り回して キャッキャいって笑っている。抱っこをして外に出ると、キョロキョロして辺りを 見回している。その瞳にうつる景色をのぞき込むけれど、同じ景色は見えない。 生を受けてから28年過ぎている私が見ているものと、産まれてたった7ヶ月しか生きてきていないその澄んだ瞳に見えるものは違うのだろう。同じ方を見て同じモノを見つめていても、違う。違ってあたり前なのだけど、何を見て何を考えているのか一度でいいから 知りたい。そして思う。「赤ちゃんになりたい。」 出産直後の願いごとは、「赤ちゃん語翻訳機」を手に入れたいだった。 お腹も一杯、おむつもかえたし、抱っこもしている でも泣きやまない、「どうして泣いているの?」と 夜中に一緒に泣いていた新米ママの私。 「赤ちゃんの考えがわかる機械ができたら 高くてもいいから買いたい」と真剣に話したら主人に笑われた。 この秋、某オモチャメーカーから猫の言葉が分かる翻訳機が 犬語(?)翻訳機に続き発売されるらしい。「出産祝いに <アカリンガル>をどうぞ」なんて時代が来るかもしれない。 育児初心者のママ達が予約に殺到したりして。 でも今は<アカリンガル>よりも、やっぱり赤ちゃん友達になって一緒に遊びたいな。 出来れば、女の子の赤ちゃんがいい。あわよくば、息子のガールフレンドの地位を 獲得できるかもしれないので。
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