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入選 |
看護師助産師部門 |
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戸惑う助産師
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福岡県 助産師 30歳 木下 桂子 |
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私はこれまで助産師として、多くの赤ちゃんの沐浴をしてきました。また、多くのお母さんたちに沐浴指導をしてきました。そんな私が、はじめて「家庭での沐浴」を体験したときの話です。 今から7年前、私が助産師になってまだ1年もたたない頃のことです。 私には姉が一人います。今は二児の母です。姉に初めての赤ちゃんが誕生し、生後一ヶ月になろうかという頃、私はその赤ちゃんに会うために姉のもとへ訪れました。初めて会った姪は、今まで出会ったどの赤ちゃんよりも愛おしく思いました。 姉は私に、「助産師なんやけん、沐浴してみたら?」と言いました。私も喜んで沐浴させてもらうことにしました。 私は、「沐浴には慣れてるからなんてことない」と軽く考えていました。ところが、お湯を張ったベビーバスに姪を入れようとしたところで、早速戸惑ってしまったのです。その原因は、いつもと全く違った体勢にありました。 病院で沐浴する時は、壁に備え付けた沐浴槽を使うので、立ったまま楽々としていました。しかしよく考えると、一般家庭にそんなものがあるはずがありません。床にビニールシートを敷き、その上にベビーバスを置いて沐浴する方がほとんどでしょう。もちろん姉の家でもそのようにしていました。 膝を立てて座り、腰をかがめて沐浴するのがこんなに大変とは!体験しなければずっと気づかなかったところでした。 しかも、生後一ヶ月に近い赤ちゃんの重いこと!病院ではせいぜい3kgくらいの赤ちゃんの沐浴がほとんどです。たまに4kg近いジャンボベビーちゃんに遭遇することもありますが、一ヶ月児の肉付きのいいどっしりした重さとは全く感覚が違うのです。 病院と家庭では、こんなに違うのか・・・、これまで私がしてきた沐浴指導じゃ、退院した後でお母さんたちもきっと今の私と同じように戸惑っていたんだろうな・・・、そう実感しながら、私は助産師とは思えないぎこちなさで姪の体を洗ってやりました。きっと姪自身も、いつもと違うと不安に思っていたのでしょう、なんとなくおびえたような表情で私を見上げていたそのときの写真は、今でもアルバムに残っています。 その後、沐浴指導をする時は、これまでの沐浴方法の説明に加えて、家庭に帰ってからの沐浴環境についてお母さんたちに聞き取りをした上で、できるだけアドバイスするようにしています。私が経験したことも話したりしています。 そんな私も、1月には母になる予定です。ベビー用品のパンフレットを見ると、最近の沐浴グッズは便利なものが多く、自宅でも立ったまま沐浴できるための商品もあり、感心してしまいます。でもはじめて家で自分の赤ちゃんの沐浴をする時は、やっぱり戸惑ったりするのかな・・・と今から楽しみにしています。
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