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入選 |
一般部門 |
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いつも笑っててナ!
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大阪府 パート 30歳 中川香織 |
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娘は生まれた時、2,376グラムの小さな赤ちゃんでした。乳首を吸う力もなく、哺乳瓶から飲むミルクの量もとても少なくて、私は10ヶ月待ってやっと会えた喜びも束の間、心配の日々でした。 「赤ちゃんにも個性があるねんよ。この子にはこの子のペースがあるんやから、お母さんもね、ゆっくり付き合ってあげてよね。」 そう言ってくれた看護師さんの笑顔にはどんなにか励まされました。 そして、幸い、娘は小さいながらも健康に育ちました。 先日、アルバムを見ていると生まれて初めて写真に収められた娘の笑顔が出てきました。そしてそこには「笑うまでカメラを手放せなかった1枚」と私のメモが挟んでありました。 そう、この頃よく笑うようになった娘の笑顔を何とか写真に撮りたくて…。 でも、私がカメラのファインダー越しに娘を見るとなぜか笑ってくれません。「お母さん何してるの?」とでも言いたそうな不思議な顔。だから、私は右手でカメラを持ち、左手でぬいぐるみを持ち、何とか笑わそうと必死でした。 その甲斐あって、私は初の娘の笑顔の写真撮影に成功したわけです。 「ほら見てみ、この写真。お母さん、笑ってる顔撮るのに大変やったんやで。」と言うと、今ではもう4歳になった娘は少し不思議そうでした。
と言うのも…今では私がカメラを持つと、娘はニコ〜っと笑うんです。ものすごい作り笑い。これでもか!っていう笑顔。私はもっと自然な顔を撮りたいのに、ものすごくカメラを意識してる! 「笑わんでいいねん。もっと普通にしといて!」と言うと娘は「普通に?…できひん!!」ですって!! 今度は笑ってない顔を撮るのに必死の毎日です。
あの日… 分娩室から出てきた私に駆け寄ってきた主人は、大きな手で私の頭を撫でて「ありがとう。」と言ってニコッと笑いました。 父は、私には見せたことのないような笑顔で娘に接しています。 母は、まるで若返ったような眩しい笑顔です。 そして私も、娘のおかげでたくさんたくさん笑わせてもらっています。 考えてみれば、娘を取り囲む全ての人たちが、娘の誕生以前よりも、今は数段笑う回数が増えているのです。
それでも、子供を育てながらのパート勤務はラクではありません。 18時に帰宅し、息つく間もなく夕食の用意。ハァ〜とため息も出ちゃいます。 そんな時、娘はいつも走って私のところに来て「お母さんどうしたん?」と私の顔を覗き込みます。そして、「元気ないのん?ちなっちゃんがおるから大丈夫やで!お母さんはいつも笑っててナ!」なんて、励ましてくれるんです。
ついこの間まで「ほら、ちなっちゃん笑って!」なんて言ってたのに。今ではすっかり逆転してしまいました。 少しお姉ちゃんになったちなっちゃん、これからの人生、辛い事も悲しい事もあるかもしれないけれど、元気をなくしたちなっちゃんがいたら、その時はまたお母さんが言うね。 「お母さんがいるから大丈夫!ちなっちゃんはいつも笑っててナ!」
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