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第6回スキナベーブ赤ちゃんエッセイコンテスト


入選 一般部門
怒った顔が宝物 神奈川県 主婦 27歳 新川 静香
現在息子は1歳3ヶ月になるたくさん食べることが取柄の元気な男の子です。そんな息子と私の間に2ヶ月ほど前起った出来事です。

 家の中は安全な状態にしてあり、息子は家中を自由に動いていました。その中でひとつだけ息子に「ダメ!」と言っていること。それは、台所にある調味料入れに使っている高さ1メートル位の棚をガタガタと揺することでした。軽い素材で出来ているので棚は子供の力でも激しく揺すると倒れそうになり、「倒れてきたらイタイイタイするからガタガタしたらダメだよ」と息子が揺する度に言い聞かせていました。と言うより、言い聞かせているつもりでした。1歳を過ぎ、周りの状況を理解できるようになってきた息子は「どうやらこれを揺らすとママが側に来て話をするようだ」と逆に「棚揺すり」に関心を持ってしまったようで、私の意図とは裏腹にしょっちゅう棚を揺するようになってしまいました。皮肉なことに、揺らし方もエスカレートしてきたので、そうなると、こちらも作戦変更。注意する声を少しきつくして様子を見ました。息子は私に叱られると背中を反らせたり、大きな声で叫んだりと不快に感じているようだったので、「作戦成功!これで止めてくれるに違いない」と、私は顔で怒って心でホッとしていました。

 そんなある日の夕方。私がいつものように大急ぎで晩御飯の準備をしているときのこと。1人遊びがつまらなくなった息子が私にまとわり付いてワァワァと大声で叫び始めました。「息子の為にこんなに急いで作っているのに!私だって疲れているのに!」と思うと私のイライラはあっという間に限界に達し、気が付くと「うるさい!なんなの?何の用!?」と大きな声を出していました。その時の私を見上げた小さな顔は忘れられません。口をきゅっと結び、目は力強く、まさに「頑なな怒り」そのものだったのです。そして、そのまますたすたと「棚」に向かって歩くと、こちらを睨み付けたままガタガタと「棚揺すり」を始めたのです!私は思わずハッとしました。物言えぬ息子の「これでもママは僕を無視できるのか」という無言のメッセージに気が付いたのです。私はすぐに息子を抱きしめ「淋しかったんだよね、ごめんね」と謝りました。もちろん、即息子のご機嫌は直りました。

 その後、少し前に棚は片付けましたが、それ以降息子は一度も「棚揺すり」をしませんでした。

 怒りの感情は他人に伝染する。親子関係に限らないですよね。息子には周りを大切にできる人に育って欲しいと願っています。それにはまず、母親である私が穏やかに優しい気持ちでいなけばと反省しています。今後、子育て中に限らずイライラするときは、あのときの小さな怒った顔を思い出せば、私の怒りもフッと小さな笑いに変りそうです。

 ソウマ、大切なことに気付かせてくれてありがとう。短気なママだけど、これからも一緒にたっくさん笑って、たっくさん怒ってお互い成長していこうね。
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