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第6回スキナベーブ赤ちゃんエッセイコンテスト


入選 一般部門
幸せの記憶 東京都 パート 36歳 柳美佳
 娘が産まれた時、母が古いアルバムを数冊持ってきてくれた。
「この子、あんたの小さいときにそっくりよ。見てみなさい」と言って渡された、革張りの重くて黴臭いアルバムをめくってみる。
あー娘がいる!瞬間思わず私は声を上げそうになった。父に抱っこされた小さな赤ちゃん、お宮参りだろう着物姿の祖母に抱かれた赤ちゃん、少し大きくなって一歳ぐらいだろうか哺乳瓶を抱えて立っている赤ちゃん、どれも娘にそっくりだけれどこれは間違いなく私の幼い頃の写真だ。親子ってこんなにも似るものなのかと少し怖いくらいだ。三歳くらいになると娘もこんなおしゃまになるのかな。七五三のドレスを着てポーズを付けている私の姿に娘の未来が重なり、懐かしさと面白さで次々とページをめくる。
しかし徐々に私の目は、幼い私よりもそばに写っている家族たちの姿に惹き付けられていく。
若かりし父はまだ髪もたくさんあり、娘の私を抱いて何とも穏やかでにこやかな笑顔だ。
着物姿の亡き祖母は神社をバックに孫を抱き誇らしげにすら見える。
今の私よりも若いであろう、今となっては考えられないほどスリムな母は私のほっぺにキスをして可愛くてたまらないといった様子。
むさ苦しいオジサンになってしまった幼い兄が可愛らしい仕草でスプーンを持って私に離乳食を食べさせようとしている。
これはどこの海水浴場だろうか。こんな小さな子供を連れて旅行に行くなんてさぞかし親は大変だっただろう。
どこにでもある普通の家族写真だが、それはなんとも幸せな家族の姿だ。子供が産まれるということは、こんなにも家族を幸せにするものなのかと思うと同時に、私は大勢の人たちに愛され守られていたのだということを実感し、ほんわり温かい気持ちに包まれる。

娘を得たことで、記憶に無かったりすっかり忘れてしまっていた自分の幼い人生を再び思い起こすことができる。
成長するにつれ、なんとなく距離を置くようになってしまった父、おせっかいばかりでうざいと感じる母、大事なことは何一つ話せずに亡くなってしまった祖父母、幼いときは喧嘩ばかりで大きくなった今は年に数回しか会うことのない兄、あの頃にはもう戻れないけれど娘は私たちをあの頃の家族に会わせてくれる。
恐々抱っこしながらも満面の笑みを浮かべる父、私のときと同じように娘のほっぺにぶちゅぶちゅキスする母、泣かれて困った顔をしながらも娘の手押し車を引いてやる兄は昔のように優しい兄だ。
そして私もまた娘にこの思い出を残してやりたいと、せっせと写真を撮ってはアルバムを作る。
母がしてくれたように頬擦りした姿、少し恥ずかしそうに娘を抱っこした夫は昔の父に似ているような気がする。
待望の初孫のお宮参りに大張り切りで新調のスーツを着込んだ父やお洒落した母の姿。
いつか娘がこのアルバムを見たときに幸せな思い出を蘇らせ、ほんわりと温かな気持ちになることが出来るように。そして幸せの記憶が続いていくようにと。
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