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入選 |
菊池 幸恵 |
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3人目の赤ちゃん
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愛媛県 看護師 32歳 |
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3人目の赤ちゃんを身ごもった。2人目出産後の育児休暇明けて、約1年。ローンを組み、マイホームも手に入れたばかりだし、車も10年目で、買い換えたいし、家族旅行にも行きたい。仕事にも、やっと慣れてきたところ。もう少し後でもよかったと言うのが本音。しかし、子供大好き夫と、4歳と2歳の子供は大喜び。私が、「どうしよう」と言うと「どうしてどうしようって言うの?子供のできる喜び、子供のいる喜びがあるのに、悩むことないよ」と、抱きしめてくれた。その言葉で、育児休暇明け1年目にして、3人目妊娠のことを素直に喜び、職場に言える勇気を得ることができた。 初めての超音波映像は5cmの胎児。上の子達が「これはどこ?」「カブトムシより大きいの?」と興味津々で聞いてくる。洋服をめくり、まだ大きくなっていないお腹を見ては「どこにいるの」と聞いてくる。「赤ちゃんとママはおへそでつながっているのよ」と言うと、一生懸命おへそに話しかけている2人。そんな子供達を見ると、幸せな気分になれる。 そんな中、お腹の張りが強く、病休を取ることになった。「ママがずっと家にいてくれる」と喜ぶ子供達をよそに、看護師をしている私はとても心苦しかった。「妊娠は病気でなく正常な体の変化」。それは、看護師をしている私は十分に分かっている。また、ひとり病休が出ることにより、職場の人にかける迷惑も、十分に分かっていた。「初産婦でもなく経産婦なのに」「たかが妊娠で」「お腹の張りくらいで休んで。頑張って働いている人は他にもおる」「臨月まで山仕事したよ」などの話を聞くと、自分は本当に怠け者でダメな人間になったようで、悲しく悔しかった。そんな中、職場の先輩が「看護師の変わりはいくらでもおる。でも、母親の代わりには誰もなれんので」と励ましてくれた、その言葉にハッとした。「私の気持ちが下向きなら、赤ちゃんにも下向きの気持ちが伝わってしまう。今の私がしないといけないことは仕事より何より、お腹の赤ちゃんを、元気に育てること。元気に産むこと」と、前向きに歩こうという気持ちが生まれた。他の人になんと言われようと、私は私。このお腹の赤ちゃんのママ。 そして、妊娠8ヶ月。「切迫早産の危険があるので入院」と言われ、入院。点滴につながれ、安静生活。静かな夜。出産後の入院なら、授乳に沐浴指導にと忙しく、また赤ちゃんの顔を見れると言う楽しさがある。しかし、今はなく、寂しい。我慢我慢の1ヶ月が過ぎ、やっと退院。お腹が一段と大きくなっているママに子供達が驚き、おへそに一生懸命に話しかけている4歳の長男。「おっぱい、僕にも飲ましてな」とのつぶやきに、つい笑ってしまう毎日。賑やかな臨月。予定日より1週間早く、陣痛が始まった。陣痛の痛みは変わらず辛く、「もうどうにかして」と思いながら分娩台へ。元気な泣き声とともに生まれてきてくれた3人目の赤ちゃん。 上の子たちは、ぺちゃんこになったお腹に驚き、小さな小さな赤ちゃんに驚いた。 そして、退院後1か月。励ましてくれた職場の先輩から「出産おめでとう」と大きな大きなバラの花束が届いた。出産祝いにもらうことの多い子供のもの。子供のためでなく、自分のためにもらったのは初めてで、つい涙がこぼれた。家にあるだけの花瓶に入れ、眺め幸せを感じる。 たくさんの愛に包まれ、生まれてきてくれた3人目の赤ちゃんももうすぐ2歳。すっかりやんちゃになり、お兄ちゃんたちの真似をして、お兄ちゃんたちに引っ付いている。 これからもたくさんの笑顔と、幸せを、ずっとずっと一緒に。私の3人の大切な赤ちゃん、愛してるよ。
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