イクメンの作り方。|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第14回】~ 赤ちゃんとの出会い ~

入選

・イクメンの作り方。

神奈川県  会社員  男性  31歳

私は、今年の7月に第一子の娘を授かった新米パパです。
私には、今年から妻の出産に合わせ育児休暇を取る予定の男性の友人がいます。ある日彼が、『生まれて間もない自分の子供と過ごせる時間は一生に一度しかないから、育児休暇を取って仕事を長期間休むことにした。』と、私に楽しそうに教えてくれました。しかし、私は男として正直彼に共感することはできず、男は仕事を犠牲にしてまで育児に関わる必要はないと思っていました。2年前に亡くなった私の父親はいわゆる仕事一筋の昔ながらの人間で、仕事を犠牲にしてまで育児に積極的に関わることも無かったせいか、私が持つ父親像もぼんやり父親と同じでした。また私が、末っ子の次男だったこともあり、赤ちゃんと一緒に生活する経験がなく、育児に対するイメージが付かないからかもしれません。さらに、年齢が30代に入り、会社の中でも責任のある仕事を徐々に任されるようになり、仕事が楽しくなってきたからかもしれません。
そのため、昨年妻が妊娠してから、つわりで苦しむ妻に代わり家事をこなしたり、マタニティーグッズを一緒に買いに行ったり、夫として人並みの手伝いはしていたものの、娘の胎動を通して妻が感じている母親への実感とは程遠く、私自身育児への漠然とした不安を感じていました。
そんな私に変化が生まれたのは、妻が妊娠7ヶ月目で医師から切迫早産と診断され、妻の絶対安静が必要とされてからです。この時私は、娘に迫る命の危険を感じると同時に、初めて娘の命を実感することになりました。それ以降、まだ見ぬ娘の命を心配し、家事や買い物、妻の身の回りの世話など、何かに突き動かされたように自然とやり始めることができました。仕事などそっちのけで。出産のときも妻の陣痛が始まったと聞き、仕事を全部置いて急いで病院に駆けつけました。陣痛に必死に耐える妻の傍で、陣痛の痛みを逃せるように、妻の気分が少しでも楽になるように、自分が寝ることも忘れ食べることも忘れ、必死に妻と娘と向き合いました。最後には、いきむ妻の横で自分も一緒に顔をくしゃくしゃにして必死に歯を食いしばっていきんでいたようで、今でも妻はその時の私の顔のことを笑いながら話してくれます。
そんな必死の思いをして生まれた我が子に出会った瞬間、涙が溢れてきました。普段、私は感動して涙を流すことが無いので、自分も妻もびっくりしました。そして、『初めまして、ようこそ。産まれてきてくれてありがとう。』と、自分でも思いがけないくらい、自然と言葉がこぼれました。その瞬間、今まで感じていた育児への不安など、とっくに消えていました。ただただ、無事に生まれてきた娘の命に感謝し、目の前にいるこの子を大切に育てていきたいと決心しました。
さらに、退院後には、オムツ替え、あやし、沐浴など授乳以外の男にもできる育児を率先して行うようになりました。娘と触れ合える育児は、今の私にとっては何よりも大切な時間となりました。
なぜ男性は昔から育児に積極的では無かったのか、今では自分でも不思議に感じるほどです。育児を少しでも手伝うことで、男性も視野や世界観が広がり、きっと仕事にも良い影響が出るのではと感じています。そして、『今だけしかない娘との時間を何よりも大切にしていきたい。』という、私の友人の気持ちは今では十分に理解することができます。これからパパになる人たちにも『イクメン』という言葉だけが先行して、私のように始めは育児への興味が無く、漠然とした不安を感じている方も多いと思います。私の場合は妻の切迫早産をきっかけに娘の命の大切さを感じることが出来ましたが、きっと子供と真摯に向き合い、触れ合うことで我が子への愛情、親としての自覚、自信を持てると思います。私も育休を取るまでいかなくても、仕事よりも育児優先の生活をして、これからも娘との時間を大切にしていきたいと思っています。

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