素晴らしい出会いの連鎖|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第14回】~ 赤ちゃんとの出会い ~

入選

・素晴らしい出会いの連鎖

京都府  公務員  男性  29歳

「パパ、携帯!」妻が叫んだ。私は読書に集中していたのか、背後から近づくモンスターの気配に気づかなかったようだ。テレビのリモコン、携帯電話、車の鍵。何でも掴んで口に持っていく、おませで好奇心旺盛なモンスター。私たちの可愛い息子。どれも君にはまだ早いぞ。
今にして思えば、君は生まれる前からせっかちだった。妻は妊娠が発覚してから早い段階で切迫早産と診断された。人間の体には個体差が存在する。私のように、やたら頭が大きくて鼻が低い人間もいるのだ。妻の子宮もきっとそんな感じなのだろう。(どんな例えだ!)私も妻も難産を覚悟した。
寂しがり屋の妻は当初断固として入院を拒否、絶対安静を条件に自宅療養となった。しかし、数値は全く改善せず、入院を余儀なくされた。そしてウテメリンを限度いっぱい使い続け、どうにかこうにか37週まで持ちこたえることができた。
そんな中迎えた無痛分娩予定日の前夜、私が夜勤で不在の日、君はフライングを試みた。私は夜勤を急遽交代し、大急ぎで病院へ向かった。私の到着に驚いたのか、君はその日お腹から出てきてはくれなかった。私は結局分娩台横のソファーで一泊、仕事が忙しく夕食を抜いた私は、翌日のお昼過ぎまで何も口にせず妻の横に付き添った。妻は自分よりもそんな私を気遣い、ご飯を食べて少し休憩してくるように言ってくれた。
病院に売店や食堂はなく、食事をとって戻るまで40~50分。私が戻った時、君はいつの間にか生まれていた。記念すべき初めての出会い。私はびっくりして絶句。情けないことに「よく頑張ったね。」と妻に声をかけるのがやっとの状態。妻はそんな私に小言を一切言わず、「3290グラムの元気な男の子だって。」と言って微笑み、安堵の表情を浮かべた。
私はあの時の妻の表情と、私への対応を一生忘れない。息子と出会えたことよりも、素晴らしい女性と出会えたことの方に、まず感動してしまった。
双方の両親に息子の誕生を報告し、我に返った私は、ガラス越しに保育器で眠る君を見て、新しい命と出会えた喜びを徐々に実感し、独りでこっそり泣いた。私達の息子は、吸引分娩の影響から、頭の形は若干いびつだったが、妻に似て眼の大きい、珠のような男の子だった。もちろん私に似て頭のサイズは他の赤ちゃんより大きかった。
あの日から一年。私達夫婦にとって、君がいない生活は、もはや考えられない。私達の子供として生まれてきてくれて、本当にありがとう。妻の妊娠が発覚し、君が生まれるまでには、多くの出会いや発見があった。妻と同じ部屋に入院していた女性は、今や一番仲の良いママ友になった。また、私達が両親からどれだけ大切に育てられ、愛されてきたのかを発見する良い契機にもなった。
君にも将来、兄弟が誕生する日、大切な人と出会い結婚する日、その人との間に新しい命が誕生する日が来るだろう。そんな素晴らしい出会いが続いていきますように…
そんなことを考えているところへ、妻の叫び声。私の携帯電話はモンスターのよだれでベトベトになっていた。私は読んでいた学資保険の資料を机に置いて、息子から携帯電話を取り上げた。携帯電話を出しっぱなしにしたことをぷんぷんと怒る嫁、おもちゃを取り上げられて不機嫌な息子、そんな二人を尻目に、私は口元が緩みっぱなしだった。

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