母親って強いんだ!|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第4回】~ はじめての沐浴 ~

佳作

・母親って強いんだ!

【一般部門】93票
犬飼 智子
愛知県  主婦  24歳

6月18日、私は帝王切開で初めての子『理花』を産んだ。手術後は約2日間寝たきり、やっとベッドから開放されてもお腹の傷が痛み、立ち上がるのも、歩く事さえもやっとだった。思うように体が動かないため、普通分娩のママ達に比べて色んな事が出来ず、『私だって…私だって…』と気持ちばかりが焦る。『こんな風で本当に私はママになれるんだろうか…』初めての沐浴はそんなマタニティブルーになりかけていた時の事だった。
前日に沐浴指導を受け、いよいよ本番。助産師さんが見守る中、初めて一人で沐浴させる…はずだったのだが、突然のお産が重なり、ナースステーションはバタバタ。私を見ていてくれるはずの助産師さんも「昨日教えたし、もう一人で出来るよね?大丈夫大丈夫!」と言い残し、問答無用で分娩室へと行ってしまった。『大丈夫…って、何が大丈夫なんだか…』あっという間に一人取り残され、呆然とする私。理花は『今から何をするの?』と言う顔つきで、少し眠たそうにこちらを見つめている。そんな理花を見つめ返しながら、暫くの間ただ突っ立っていたけれど、それじゃあ何も始まらない。『ええい!やるしかないでしょ…』私は腕まくりをして、昨日の沐浴指導を思い出しながら理花を裸にした。異常はないか、あちこちチェックした後、お湯の中にそ~っと入れる。エアコンが効いた部屋のはずなのに、いつの間にか私は汗びっしょり。ただ体を洗えば良いだけなのだけれど、それが案外うまくいかない。耳に水が入らないように、首は痛くないかな、顔に水がかからないように、頼むから暴れないでよ…気になる事が多すぎて全身に力が入るため、理花を支える腕は痛いし何をどうして良いのやら、頭の中は大パニック。理花はそんな私の気持ちを察してくれたのか、沐浴の間中気持ちよさそうな顔をして、おとなしくしていてくれた。何とか全身を洗い終え『さぁ、あがるか…』と言う時になって、助産師さんがやっと戻ってきた。「どう?出来た?」と笑顔で尋ねる助産師さん。『出来た?じゃないよ、他人事だと思って!帰ってくるのが遅いんだよぉ!』と心の中で文句を言いながらも「はい、なんとか(^^)」と笑顔で返す。理花をお湯から上げようとする私に「ちょっと待って」と言い、助産師さんは写真を1枚撮ってくれた。理花の体を拭き、オムツをあて、肌着を着せて…髪をとき、麺棒で鼻と耳のお掃除…。「はい、おしまい!」自分と理花に向かって言った途端、お腹の傷がズキズキとすごい勢いで痛んでいる事に気付く。傷に手を当て、痛みに耐える。『そう言えば私、歩く事もままならなかったんだっけ…』不思議と理花を抱いている時、一生懸命沐浴させている時は何の痛みも感じなかった。すごい!すごい!母親って強い!!親になるってすごい事なんだなぁ…としみじみ実感し、理花を見つめる。理花は満足げな顔をして、クゥクゥと寝息をたてていた。そんな理花を見て、私も自然と笑顔になる。いつの間にか痛みなんてどこかに吹っ飛んでしまっていた…マタニティブルーと一緒に。
あれから2ヶ月。今では一人での沐浴もお手の物。「理花ちゃぁ~ん、チャプチャプきもちいねぇ」なんて声をかけながら手際良くお風呂に入れている。理花もどんどん大きく成長して、ベビーバスが窮屈になってきた。毎日沐浴する度に、理花も私もちゃんと成長してるんだなぁ…って嬉しくなる。
助産師さんが撮ってくれた【初めての沐浴】の写真。気持ち良さそうな理花の顔と、いっぱいいっぱいの私の顔。その写真を見るとあの日の事を思い出し、頑張ろう…って思える。母親は強いんだ、負けてなんかいられないんだ…。私も母親として、理花と一緒に成長していく!これからも宜しくね、理花ちゃん!

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