自分を変えた出会い|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

エッセイコンテスト

スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト

【第7回】~ 赤ちゃんとの出会い ~

入選

・自分を変えた出会い

東京都  会社員  33歳

結婚生活もはや2年あまり。
夫も私も仕事をしており、休日は横浜や恵比寿でディナーとワインを楽しむ等、独身時代とほとんど変わらない時間を過ごしていた。
そんなある日、私の体の異変に気づいた。来るものがこない、というあれだ。疑惑を抱きつつ会社帰りに薬局で妊娠検査薬を購入し、自分の妊娠を知った。
そのあと、順調な妊娠期間を過ごし、無事に、本当に息子が産まれてきて、それからは怒涛の日々が始まった。
最初のうちはおむつを替えるのも一苦労で、ましてや沐浴などは、二人がかりじゃないと無理だった。それでもなんとか、お宮参り、予防接種、初めての離乳食・・・など、いろいろとイベントをこなしながら、息子は順調に育っていき、私の心にも余裕が出てきて、いろいろと生活を見直すようになった。
そういえば、息子が産まれてから、いいレストランなんて行ってない。買い物に行くにしても荷物が多くてゆっくり出来ないし、すぐよだれやミルクを掛けられるからおしゃれも出来ない。スポーツもカラオケも行けないし、パイレーツだって、完結版だけ映画館で観れないなんて・・・。
そういった不満をなんとなく感じ始めていたころ、妹夫婦が記念日にフレンチを食べたという話を聞き、「いいなーいいなー」と連発していると、妹が、「子供預かるから行ってきなよ」と提案してくれた。「いやー、悪いし」とか言いながらも、結局、久しぶりに夫婦二人で行くことになった。
最初のうちは「フォアグラやわらかい」「うに入ってる!」などとはしゃいでいたが、夫婦二人でゆっくり会話を楽しもうと思い、いろいろとしゃべり始めた。「携帯の待受画面を上司に見られて恥ずかしかった」「離乳食で納豆食べるようになったよ」「歯まだ生えてないよね。いつ頃かな」・・・・。
気づいてみると、二人とも話している内容が息子の話題ばかりだった。
夫:「なんか気になるよね・・・」
私:「だね」
夫:「・・・もう迎えに行こうか」
私:「・・・だね」
私はふと、自分は変わったなあと思った。出産前は、自分が本当に母親なんてものになれるかどうか心配だった。おむつを替えたこともなく、そのようなことが本当に自分に務まるのだろうかとも思っていた。どちらかというとクールな性格で、「はじめてのおつかい」が泣ける番組だなんて全く想像できなかったことだ。ところが今では、子供をあやすために変顔することなんてしょっちゅうだし、日常的に「うんち」などと言う言葉を発するのもぜんぜん平気だ。小学生の頃から全く続いたことがない日記だって、今は育児日記を毎日つけている。
たくましいじゃないか。やるじゃん、私。そう思った。同時に、こんなにも自分を変えた出会いは、これまでなかったなあ、と思った。
帰り道、「俺らいないからずっと泣きじゃくって大変だったんじゃないか」と話しながら、妹夫婦のところに息子を迎えに行くと、息子は何事もなく幸せそうに熟睡していた。
「誰でもいいんじゃん、こいつ・・・」と脱力する自分を感じながら、「もっとゆっくりしてくればよかったのに」と無邪気に問いかけてきた妹に対して、「いやー、悪いし」と答えた。
いいレストランでの食事は、子供が手を離れてからのお楽しみということになったが、そもそも2、3時間預けるだけでこうも落ち着きがなくなるというのは、先が思いやられる。まずは、保育園に預ける予定の4ヶ月後に、ちゃんと子離れ出来るかどうかが問題だ。

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