助産師に聞く 妊娠後期のQ&A|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

文字サイズ

  • 標準
  • 大

持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A
妊娠後期の悩み・不安

出産を間近に控えた妊娠後期は、からだだけでなく、心も不安定になりがちです。
ひとりで抱え込まずに、助産師さんに相談をして残り少ない貴重な妊娠期間を存分に楽しみましょう。

Q.

陣痛中の過ごし方について教えてください。

陣痛はどのように起こり、どのような経過をたどるものなのでしょうか?
陣痛の乗り切り方は?
助産師さんをどのように頼ればよいのでしょうか?

回答者:助産師 大谷紗弥子さん大谷紗弥子さん
A.

出産が日に日に近づき、「陣痛怖いな…」「耐えられるかな…」という恐怖や不安な気持ちでいっぱいになっていませんか?
陣痛は、「痛いもの」「辛いもの」という先入観から、陣痛への恐怖心はなかなか拭いとれないものです。しかし、陣痛の痛みに対して何もできないわけではありません。うまく陣痛を乗り切るための色々な方法があります。ただ恐怖心を抱いて陣痛を待ち構えるのではなく、今からできる準備を早速始め、いざ本格的な陣痛が始まった時に「来た!よし!頑張る!」というポジティブな気持ちで陣痛を迎え入れて欲しいと思います。

◆前駆陣痛とは?

お産が近づいてくると、前駆陣痛といって不規則なお腹の張りがみられるようになります。おなかが硬くなり、多少の痛みを伴うこともあります。夜になり「あれ?陣痛かな」と思っていたら朝になったらなくなったということもあります。この前駆陣痛は本格的な陣痛の予行練習と考えましょう。

◆本格的な陣痛が始まったら…

痛みに対して恐怖心や緊張感を持ちながら痛みと向き合ってしまうと、痛みを強く感じたり、体の緊張も強くなってしまいます。痛いときに体を動かしたり食事を摂ることは、とても億劫なことです。しかし、ベッドにジーっと横になって動かず、何も飲み食いせずに過ごしている方が、体の緊張が強くなるとともに、気力も体力も消耗してしまい、なかなかお産にならないという悪循環に陥りやすいのです。体の緊張がほぐれるような過ごし方は、気力・体力の消耗を最小限にしてくれます。

では、陣痛を乗り切るポイントを紹介しましょう。

◎楽な体勢をとりましょう
立ったり、あぐら座で座ったり、腰を振ってみたり、クッションや椅子を使い自分にとって楽な姿勢を見つけましょう。ベッド上でおなかにクッションを抱える四つん這いの体勢や低い椅子に座りスクワットの姿勢に近い体勢もおススメです。
病棟内や分娩室内を歩きまわったり、階段を昇り降りしたりして動き回るのもいいでしょう。動いている方が痛みを紛らわせることができるかもしれません。また、赤ちゃんは下に下がってきやすく、陣痛も強くなりやすいのです。
動き疲れたら、ベッドに横になり陣痛と陣痛の間にウトウトして体を休めましょう。横向きになり足の間に抱き枕を挟め骨盤を開いてあげる体勢もオススメです。
出産予定の病院で、楽な姿勢をとるのに便利な抱き枕やビーズクッション、スクワットの姿勢をとる時に便利な低い椅子など、どのような物を貸してもらえるのかを確認しておくとよいでしょう。

◎エネルギー補給をしましょう
陣痛が始まったらまずはしっかり食事を摂りましょう。
陣痛は子宮の筋肉の収縮=運動です。ですから、エネルギーが不足してしまうと筋肉も疲れてしまい、子宮の筋肉の収縮は弱くなってしまいます。これが微弱陣痛です。微弱陣痛になると分娩時間が長くなってしまい、お産の進行が止まってしまう分娩停止や、子宮の収縮が弱くお産後の出血が多くなってしまう弛緩出血などのリスクが高くなってしまいます。ですから、これを予防するためにも、食事でもお菓子でも構わないので、食べられるものをしっかり摂りましょう。すぐにエネルギーに変わる炭水化物がおススメです。おにぎりやゼリー、果物など口当たりがよく手軽に食べられる物を準備しておきましょう。

◎体を温めましょう
足が冷えないように靴下は必ず履くようにしましょう。また、破水をしていなければ湯船に浸かって体を温めましょう。もし、破水をしている場合は、子宮内感染を起こす可能性があるため、湯船に浸かることはできませんが、シャワー浴や足浴をするだけでも気分転換や痛みが緩和され、リラックス効果があります。「陣痛中にお風呂なんて入る余裕なんてない!怖い!」と敬遠される産婦さんも多いのですが、意外に病みつきになる産婦さんも多いようです。体が温まることで循環がよくなり、陣痛が強くなってお産がスムーズに進むきっかけになることもあります。

◎呼吸法に合わせてマッサージをしてもらいましょう
体の緊張を和らげる方法として、マッサージはとても効果的です。まずはご自分で、どこをどのようにマッサージしたら気持ちよいかを探してみましょう。そして、お産の時に付き添ってくれる方と一緒にマッサージの練習をしましょう。マッサージの方法は優しくなでたり、少し力を加えて押さえるようになでたり、指先やこぶし・ひじでツボを押す方法などがあります。呼吸法に合わせてマッサージをしてもらうのがよいでしょう。お産のどの段階でどのようにマッサージをしてもらったらよいかはその時になってみなければわかりません。もしかしたら、マッサージを煩わしく感じてしまうかもしれません。ですから、自分がリラックスするためにはどのようにして欲しいかを、助産師や付き添いをしてくれる方に気を遣わずはっきり伝えてください。

お産は「病院に行けば医師や助産師が産ませてくれる!」というものではありません。もちろん、医師や助産師は、お母さんと赤ちゃんの安全を第一に考えて、その時々に応じた一番良い方法を提案したりお手伝いをさせていただきます。
助産師が「少し動きましょう。」「エネルギー切れにならないようにご飯食べましょう。」「今までの体勢から少し違う体勢になってみましょう。」などと提案することが、もしかしたらその時の状況によっては産婦さんにとって、とても辛いことかもしれません。しかし、それは少しでも辛い時間を短くし、少しでも楽に過ごしてもらうための手段なのです。ですから、最初から「無理!!できない!!」ではなく、助産師や付添いの方の力を借りながら、うまく陣痛を乗り切りましょう。

回答いただいた助産師さん

大谷紗弥子さん

聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。

ページの先頭へ