助産師に聞く 妊娠後期のQ&A|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A

助産師に聞く 妊娠後期のQ&A
妊娠後期の悩み・不安

出産を間近に控えた妊娠後期は、からだだけでなく、心も不安定になりがちです。
ひとりで抱え込まずに、助産師さんに相談をして残り少ない貴重な妊娠期間を存分に楽しみましょう。

Q.

体重コントロールが難しい…体重管理のポイントや成功させるコツは?

回答者:助産師 大谷紗弥子さん大谷紗弥子さん
A.

妊娠中の体重管理はコントロールの難しさに多くの妊婦さんが頭を抱えているようです。女性にとって体重の増加や体型の変化は抵抗を感じやすいことですが、妊娠中は、お母さんの健康状態の維持やおなかの中の赤ちゃんの成長・発達のために必要なことです。

正しく体重管理を行うために、まずは自分の体格を正しく認識し、その体格に合った必要な体重増加量を知り、食生活や運動習慣など、自分の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。

適切な体重増加量とは?

妊娠中の体重管理については、“妊娠前の体格区分別推奨体重増加量”というものを厚生労働省が示しています。これは「このくらいを目安に体重を増やしましょう。」といった基準で、体格に合わせた必要な体重増加量が示されています。
妊娠前の体重から、自分のBMIを計算し、自分に必要な体重増加量をきちんと知った上で体重管理をするようにしましょう。

◆BMI=体重(kg)/身長(m)2
<例>身長158㎝、妊娠前の体重52㎏の場合のBMI
   52÷1.58÷1.58=20.82… → 体格区分は“ふつう”

体格区分別 妊娠全期間を通しての推奨体重増加量

妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量

体重の増えすぎにも増えなさすぎにも注意を‼

女性はどうしても“体重が増える=太る”と思ってしまいがちですが、妊娠するとホルモンの影響によって、おなかの赤ちゃんを守るために皮下脂肪が増加したり、お産の時の出血に備えて全身の血液量が増加したりするなどの生理的な変化が起きることで体重が増加します。

その内訳は赤ちゃんの体重で3㎏、羊水で約800g、胎盤で約500~700g、全身の血液量で約1~1.5kg、乳房や子宮の増大で1㎏、母体貯蔵脂肪で2~3㎏、これらをすべて併せて妊娠末期までに10~12kgほどの増加になります。つまりこのくらいの体重増加は当たり前なことで、“太る”ということではないのです。

しかし妊婦健診では、そこまで体重が増えていなくても、体重増加のペースが速いと医師や助産師から注意を受けることもあります。妊娠中に体重が増えすぎると、妊娠中毒症や妊娠糖尿病・巨大児の発生率の増加、分娩時間の延長、分娩時の出血量・帝王切開率などが増加することと言われています。また、腰痛や不眠、妊娠線の悪化などのマイナートラブルを引き起こしやすくなります。ですから、生活習慣を見直し、体重増加のペースをコントロールする必要があります。

一方で近年、女性のやせ体格や、やせ願望を抱く女性の増加、メディアからの偏った情報による影響で「妊娠中に体重が増えないこと(増やさないこと)はよいことだ」という誤った認識をしている妊婦さんが多くなっています。
それに伴い、妊婦さんの低栄養と体重増加の少なさが心配されています。

妊娠中の体重増加が少なすぎると、2500g未満の低出生体重児や、妊娠週数に対して体重が少ない赤ちゃんが生まれたり、その赤ちゃんが将来的に生活習慣病を発症しやすくなったりする可能性が高いことがわかってきています。

つまり、お母さんの健康状態の維持や、おなかの中の赤ちゃんの成長・発達のために、妊娠中の体重は増えすぎも増えなさすぎもよくなく、“適切な体重増加”が大切なポイントになるのです。

適切な体重増加のためのコツ

○体重が増えやすいタイミングに注意を
安静が必要になった時
切迫早産などで安静にしておくように医師から忠告された場合、トイレや食事以外は横になって過ごさなければなりません。そのため、消費エネルギーが減ってしまったり、つい間食が増えてしまったりと体重が増えやすい生活になってしまうため注意しましょう。

イベントの時
クリスマスやお正月などのイベントではついつい食べ過ぎてしまいますね。そのような時
は、翌日は控えめにして、早めに元のペースに戻しましょう。

産休に入った時
通勤や仕事で消費していたエネルギーを産休に入り、消費できずに体重のコントロールが難しくなってしまうことがあります。そのような時は体調に合わせて散歩をしてみたり、ヨガ教室に通ってみたりして、仕事をしていた時間を体を動かす時間にしてみるのもよいでしょう。

里帰りをした時
里帰りをした場合、親がお世話をしてくれるために体を動かすことが減ってしまったり、間食が増えてしまったりと体重が増えやすい環境になってしまうことがあります。そのような場合は体調が良ければ、散歩をしてみたり、家事を手伝ったりと、自宅での生活リズムに近づくように工夫をしてみましょう。

妊娠末期
妊娠末期はどんどん赤ちゃんが成長する時期であるため、おなかが大きくなってくることで動きづらくなったり、「もうすぐ生まれるから…」と油断して出産前に食べたいものを食べたりして、急激に体重が増えてしまうことが多い時期です。この時期は妊娠中毒症を発症しやすい時期なので、注意しましょう。

○体調に合わせた無理のない範囲での運動
手っ取り早く食事だけで調節することが多くなりがちですが、その場合、低栄養やアンバランスな栄養状態に陥ってしまう可能性があります。
妊娠中の体調に合わせて軽い運動も加えてコントロールすることが体重管理のポイントになるでしょう。運動の習慣がない場合は普段の家事や散歩などでもOKです。
》Q25.出産に向けて軽い運動をしたいのですが、注意することは?

○自分の食習慣の評価を
自分の食生活を客観的に見るために、期間を決めて、間食も含めて口にしたものをすべて書き出し、チェックしてみましょう。また、本来どのくらいの食事量が必要なのかを、一度厳密に調べてみて、自分の食事量が適切なのかどうかを比べてみるのもよいでしょう。
》Q14.妊娠後期の食事で、気をつけることは?

体重管理は美容的な観点からもとても気になることかもしれませんが、一番大切なことは“体重管理のための生活習慣をおくること”ではなく、“お母さんの健康状態の維持と、おなかの中の赤ちゃんの成長・発達を促進することに配慮して、生活習慣をおくること”です。
そのような生活習慣をおくった結果、適切な体重管理が実現できることが理想的ですね。

回答いただいた助産師さん

大谷紗弥子さん

聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。

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