助産師に聞く 妊娠初期Q&A|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠初期Q&A

助産師に聞く 妊娠初期Q&A
妊娠初期の悩み・不安

妊娠が判明してから安定期に入るまでは、からだも心も不安定になってしまうもの。
急激な自分のからだの変化に驚いたり、「おなかの赤ちゃんは大丈夫?」と心配になってしまったり。
助産師さんのアドバイスを参考に、リラックスしながらこの時期を乗り切りましょう。

Q.

妊娠初期の便秘や下痢など、おなかのトラブルへの対処法は?

・妊娠してから便秘に。いきむと流産してしまうのではないかと怖くてさらに便秘に…。
・妊娠してから下痢しがちに。薬も飲めずつらいのですが、どうしたら?

回答者:助産師 大谷紗弥子さん
A.

妊娠中の便秘や下痢は、妊娠初期だけではなく妊娠全期間を通して、多くの妊婦さんが経験するマイナートラブルの一つです。妊娠初期の妊婦さんにとっては、まだ体調が不安定な時期のトラブルなので、不安な気持ちが大きくなってしまうかもしれませんね。排便のトラブルというと相談しにくいことかもしれませんが、自己判断で市販の便秘薬や整腸剤を飲んだり、便秘に対して無理にいきんだりせずに、早目に医師や助産師に相談して、適切に対処することが大切です。

◎原因

妊娠中の便秘や下痢のトラブルは、妊娠によって生じるいくつかの原因があります。そのため、妊娠初期だけに限らず、妊娠初期ではなんともなかった妊婦さんでも、妊娠中期・後期と経過するにつれて便秘になることもあります。反対に、妊娠後期になるにつれて下痢しやすくなることもあり、個人差が大きいものです。

◆つわりの影響
つわりの時期になると食欲がなくなり、十分に水分や食事が摂れずに、便の原料自体が不足したり、また、栄養バランスが偏ってしまったりすることによって、便秘や下痢になったりすることがあります。

◆ホルモンバランスの変化
妊娠によって、胃腸の動きを抑える働きをもつプロゲステロンというホルモンが増加するため、下痢や便秘になりやすくなります。食事や運動など気を付けていても、ホルモンの影響が強く、なかなか解消されない場合も多いのです。

◆活動量の減少
つわりの影響や、妊娠に伴う眠気や疲れやすさから、妊娠していなかった時よりも体を動かす量が減るために、腸の動きも減少し、便秘になりやすくなります。

◎対処方法

本来、便秘・下痢には「バランスのよい食事」「水分摂取」「運動」が基本的な対処方法なのですが、妊娠初期の「運動」はおススメできません。ですから、食生活を中心とした対処方法が基本になります。

◆下痢の場合
下痢の場合は、消化に良いものや温かいものを口にしましょう。また、胃腸の働きが弱くなっているため、一気に食事を摂るのではなく、何回かに分けて胃腸への負担を軽くするような、食べ方の工夫を心がけてみてください。

◆便秘の場合
便秘の場合は、栄養バランスの良い食事の中で、便秘予防のための食材を取り入れたり、調理法の工夫をしたりしてみましょう。

対処方法の効果には個人差があるので、様々な食材や調理方法、食事の摂り方などを試して、ご自分に効果的な方法が見つかるとよいですね。
しかし、あまりにも便秘・下痢が続き苦しい思いをすることもあるかもしれません。そのような時は、無理せずに病院を受診しましょう。

◎受診のタイミング

◆下痢の場合
腹痛や発熱、嘔吐を伴う下痢の場合、胃腸炎や腸炎を引き起こしている可能性があります。一日に何度も下痢をくり返す場合は、子宮の収縮の原因になる可能性があるため、早めの対処が必要なことがあります。そのような場合は、妊娠されている旨を伝えた上で内科に受診することをおススメします。

◆便秘の場合
食事をしっかり摂っているにも関わらず便秘が続くと、下腹部痛や息苦しさ、子宮収縮の原因になることがあります。妊娠初期は特に、胎児器官形成期の時期であるため、基本的には浣腸や薬の服用は控えなければなりません。だからといって、おなかをマッサージしたり無理にいきんだりするのは、子宮収縮の原因になったり、痔の原因になったりとさらなるトラブルにつながる可能性があります。
いきむことによって流産を引き起こす直接の原因になることはありませんが、無理に刺激をしてしまうことで子宮が収縮して切迫流産や切迫早産につながる可能性はあります。ですから、自己判断で無理に解決しようとせず、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。
便秘は、妊婦さんに限らず多くの女性が抱える不快な症状です。便秘薬を服用することによって排便をしている限り、便秘の根本原因は改善されていません。ですから、食生活や運動習慣など生活習慣の中での改善が大切です。

“妊娠”というライフイベントで、これまでの自身の生活習慣を見つめなおし、これからの健康な生活習慣を新たに築きあげるよい機会にできるといいですね。

回答いただいた助産師さん

大谷紗弥子さん

聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊産婦さんやそのご家族が安心して新たな家族を迎えられるようにサポートをするかたわら、妊娠前の女性や妊婦さんへの食育やマタニティヨガを通して、女性のからだづくりにも携わっている。

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