助産師に聞く 妊娠初期Q&A|赤ちゃんの沐浴はスキナベーブ

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持田ヘルスケア株式会社

助産師に聞く 妊娠初期Q&A

助産師に聞く 妊娠初期Q&A
妊娠初期の悩み・不安

妊娠が判明してから安定期に入るまでは、からだも心も不安定になってしまうもの。
急激な自分のからだの変化に驚いたり、「おなかの赤ちゃんは大丈夫?」と心配になってしまったり。
助産師さんのアドバイスを参考に、リラックスしながらこの時期を乗り切りましょう。

Q.

風疹の抗体について教えてください

・風疹の免疫がないとどんなことが心配?
・抗体検査について教えてください。
・妊娠前、妊娠中にワクチンは接種できますか?

回答者:助産師 山本智美さん
A.

風疹は風疹ウイルスに感染することで発症する病気で、くしゃみや咳などでウイルスが飛び散り、感染します(=飛沫感染)。一般に「三日ばしか」と呼ばれ、発疹、リンパ節腫脹(しゅちょう)、発熱などの症状があります。
風疹ワクチン接種をすることで風疹ウイルスに対する免疫を得ることができ、風疹に罹るのを予防できます。

風疹ワクチン接種は1977年から女子中学生のみ接種していました。
しかし、1995年からは生後12か月から90ヶ月未満の年齢の男女小児および中学生男女になりました。この変更の狭間に入った接種率の低い世代が、1979年4月2日~1990年4月1日生まれの男女です。

2013年に風疹が大流行しました。その時、20~40歳代の男性患者さんが多く、この年代が風疹ワクチン接種を受けていない世代でした。男性間で流行が起こると、最終的に妊娠女性の感染危険が高まると考えられています。

妊娠中に風疹にかかった場合、風疹ウイルスが胎児にも感染し、目がみえない(白内障や緑内障などの眼症状)、耳が聞こえない(難聴)、心臓に奇形がある(先天性心疾患)などを引き起こすことがあり「先天性風疹症候群」と呼ばれます。

先天性風疹症候群がおこる可能性は、風疹にかかった妊娠時期により違いがあります。特に妊娠初期の12週までにその可能性が高いことが認められています。予防接種をうけることによって、成人女性なら妊娠中に風疹にかかることを予防し、または妊婦以外の方が妊婦などに風疹をうつすことを予防できます。

ただし、風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできません。また、妊娠前に風疹ワクチン接種を行う場合は、その後2ヶ月間の避妊が必要です。

妊婦さんの家族に、「ワクチン接種の記録」または「風疹の確実な罹患歴(症状のみからの診断ではなく、抗体検査などによって確認されたもの)」がない方がいる場合には、その方から妊婦さんに風疹をうつしてしまう可能性があります。これを防ぐために、家族の方は出来るだけ早く接種をうけることが勧められます。抗体検査を受け、十分高い抗体価があることが確認された場合には、予防接種を受ける必要がなくなります。しかし、抗体価が低い場合(一般にHI抗体価が16以下の場合)は予防接種が必要になります。

時間のない場合は、予防接種の前の抗体検査は必ずしも必要ありません。(検査の結果が出るまでには5日間〜1週間程度かかります)
風疹の感染または過去の風疹の予防接種によってすでに免疫を持っている方が再度接種を受けても、特別な副反応がおこるなどの問題はありません。

妊婦さんは、妊娠初期に風疹抗体検査(通常妊娠12週頃までに実施されます)を行いますので結果を確認してください。8倍未満(HIで<8×)の場合には特に感染しないよう注意が必要です。具体的には「妊娠20週になるまでは人ごみを避ける」ことが重要です。

自分と家族、そして周りの人々を風疹とその合併症から守り、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るためにも、風疹の予防接種を受けたことがない方(妊婦さんは除く)は、可能な限り早く接種を受けるようにして下さい。

回答いただいた助産師さん

山本智美さん

聖母病院(東京都新宿区)勤務。
妊婦さんたちを安心に導くかたわら、高校生の性教育にも携わっている。いつも妊婦さんの気持ちを大切に、優しく、ときには厳しくコミュニケーションしている。

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