持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第7回】
~ 赤ちゃんとの出会い ~

優秀賞

ほっとミルク

129票 若宮 絵理 愛知県  主婦  30歳

『ええ~~、ごめーん。もうひとりいるわ~!』
カーテンの向こうで先生があやまっている。私は画面を見ながら『ふたつだ。』と冷静。そう、4ヶ月に入ろうという時、私の中にはふたつの新しい命が宿っていることが判明したのだ。それまでの検診では、ずっと『ひとり』できていたのだが、これは母親の勘とでもいうべきか、このときの先生の言葉に驚きはなく、むしろ『だよね』だった。その日以降、悪阻が軽くなり、なんだかつっかえていたものがとれた感じだった。
5ヶ月に入ろうという早朝、大量の出血とともに目が覚めた。出ている出血の量を見て、(・・・だめだ)と思った。やはり双胎妊娠はハイリスクか・・・意外と冷静。隣で寝ている主人を起こし状況を説明。私はすぐに病院へ連絡をして向かおうと準備をする。で、起こしたはずの主人がなかなか部屋に戻ってこない。主人もこの状況にやはり最悪なことを考え、動揺しているのだろうか・・・。
“ピー”・・・“ピー”・・・? レンジ??
・・・やっと現れた主人の手には、必死で作ったと思われるホットミルクがふたつ。(ふきこぼれたのか膜がカップのふちにこびりついてて・・・)『まずこれ飲んで。』??なぜ?こんなものゆっくり飲んでいる余裕はないのに???
・・・こくん。ほっとした。全身の力がふわ~っと抜けた。(力、入ってたんだ私。)冷静でいたつもりだったのに、ピンピンに張り詰めていたらしい。その後、お互い最小限の会話で病院へ。早くエコーで見たいような、見たくないような・・・。
・・・動いてる!!!!!!!!!
確かにふたつの心臓が元気に動いてるのがみえる!!!!!
よかった!!本当によかった!!!涙が止まらない。堪えていたものが全部こみ上げてきて、声をあげて泣いた。はやく主人にも見せてあげたい!!!呼ばれて入ってきた主人は笑っていた。いつもと変わらない、穏やかな優しい笑顔だった。
それからは1ヶ月、切迫流産で入院。退院後も自宅安静でひたすらふたつの命をあたためた。安静の甲斐あってか、7ヶ月頃には『もう生まれるね』とか『夏生まれだね』などと近所の人に声を掛けられたりした。・・・いやぁ、まだまだ生まれないし、この子達は秋生まれですぅ・・・みたいな。9ヶ月にはもう、すれ違う人達に必ず2度見をされた。小さな子などは口をあけて呆然と私を、私のお腹を見ている。立派に育ったもんだ。
平成18年10月10日。晴れて無事に愛しいわが子達が誕生した。帝王切開だったため、またまた私だけ先にふたりとご対面となったのだが、この時もまた、早く主人に見せてあげたい気持ちでいっぱいだった。処置のある私よりひと足先に家族の待つ病棟へとわが子達が向かった。主人が撮ったビデオには孫達の誕生を泣いて喜ぶ両家両親の姿があった。目の前の愛しい赤ちゃん達に夢中になっている両親達のうしろで、助産師さんに話しかける主人の声があった。
『絵理は大丈夫ですか?』
あれから9ヶ月。愛しいわが子達もすくすくと元気いっぱいに育っています。そして、愛しい主人もすっかりパパになり、あの変わらない、穏やかな優しい笑顔で私や子供達を包んでくれています。《ホットミルク》がなんでふたつあったかって???
きっと主人も私と同じくらい、いや、それ以上力が入っていたのでしょう・・・
《ホットミルク》わが家ではあれ以来、《ほっとミルク》です

ページの先頭へ

電話をかけて相談・問い合わせる

お問い合わせ 0120-01-5050
(9:00~17:40 土、日、祝日、会社休日を除く)

PCサイトを表示する