持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第8回】
~ 赤ちゃんとわたし ~

優秀賞

ママのぽんぽん

134票 後藤真紀 大分県  専門職  36歳

「ママのぽんぽん、赤ちゃんいる?」
2年前の秋、思いもよらない双子娘達からの問いかけだった。
不妊治療の末、ようやく授かった双子娘達。主治医から「自然妊娠は厳しい」と断言されていた。そんな時、持病の胃痛が現れた。
痛みを感じながらも何とか乗り切った最初の1週間。主人に相談すると「また胃カメラ飲んだ方がいいよ」との言葉。胃カメラの恐怖に怯えながらまた1週間が過ぎた。「まだ痛いんよ」と言いつつ、ふと遅れてることに気づいた。主人に報告して、顔を見合わせて・・・「ありえないよね~」ということでまたまた1週間が過ぎた。元々周期が安定しない私、夫婦揃ってただの胃潰瘍の再発だと思っていた。
その翌日、お腹をさすりながら放った双子娘達の言葉である。帰宅した主人に話すと「子供は分かるって言うから!」と荷物だけ放り投げてドラッグストアへ飛び出して行った。
帰宅後、さっそくトイレに入れられ検査してみた。半信半疑、ううん3分の2は疑ってた。ところが説明書の判定時間を待つまでもなく、くっきりとしたラインが現れた。
抱き合って泣いて喜んだ双子の妊娠から3年が経っていた。あの時とは違う、驚きが先行した妊娠発覚。それでも「これから家族5人になるよ」パパが嬉しそうに双子達に伝えてくれた。
妊娠中、お姉ちゃん達はだんだん大きくなる“ママのぽんぽん”を不思議そうに、大事そうにさすってくれた。恥ずかしがって言葉には出さないけど、2人とも赤ちゃんに会えるのを楽しみにしてくれていた。帝王切開が決まっていたものの2週間も早く陣痛が来てしまい、誰も心の準備が出来ていない状態での入院となった。オペの前、陣痛の合間にそばに寄ってきて、もうすぐぺちゃんこになる“ママのぽんぽん”を優しく触ってくれた2人。帝王切開で生まれてきた赤ちゃんを見て、「かわいいね~」と笑ってくれた2人、お姉ちゃんになった瞬間だった。
子供を持てないかもしれないと泣いた夫婦が気づけば3人の親になった。“ママのぽんぽん”も思いがけず2度も役をなしてくれた。下腹にくっきりと残る傷跡は誇りであり、幸せの証である。時々双子姉は優しく傷を触りながら、「ここから出てきた?」「痛かった?」と聞く。そして「ママ、嬉しかった?」と尋ねてくる。モチロン!!
子供が欲しくてたまらなかったパパとママの元へゆっくりやってきてくれた双子のお姉ちゃん達。
そしてお姉ちゃん達が迎えてくれた妹。
ママのぽんぽんを選んで来てくれて本当にありがとう。
最近双子達が言う。
「ママのぽんぽんに、みんな入りたかったんよ」
だから私も答えた。
「ママもみんなに入って欲しかったんよ」
最近は年齢と重力に負けそうな“ママのぽんぽん”。若くない私も若く見えるママを目指して、運動に励んでいる。

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