持田ヘルスケア株式会社

スキナベーブ エッセイコンテスト

【第8回】
~ 赤ちゃんとわたし ~

入選

おばあちゃんからの贈り物

熊本県  主婦  31歳

「うちには孫がおらんですもんねー」
私の祖母が入院中、お見舞いに来ていた私にそう言った。
私の祖母は、だいぶん前からボケた症状がでてきて、時々、女学生の頃の話をしたり、同じことを何度も繰り返しして聞いてくるようになっていた。
当時、私は結婚2年目で赤ちゃんが欲しくて不妊治療していた。孫のことかな?ひ孫のことかなぁ?っと、思いを巡らせながら、話をあわせるように
「そうですかぁ~お孫さんができるといいですねー」と、返答したのを覚えている。
また、同じ日に
「Kちゃんだったろ?小さい頃からだが弱かったのはぁ~」
と、昔の私の姿を思い出したようだった。そして、
「Kちゃんが、幸せになって安心したよー」と何度も言ったのは
とても印象的なことだった。
私は、生まれつき足が悪い。脳性まひによる肢体不自由者だ。だから4人の孫の中で、一番心配してくれてたに違いない。また、15歳でたった一人の兄が他界したことや、両親が離婚していることも大きかっただろう。私のことだけは、おばあちゃんがちゃんとしてやるけん・・・ってよく話していたのは、まだボケる前の元気な頃だった。
そんな祖母が退院を目の前に、急変しのだ。私やみんなの願いも届かず、祖父のいる天国へ召されていったのは、この会話のちょっとあとのことだった。
そして、奇跡を感じたのは、祖母の葬儀の夜だった。
「奇跡」それは、私の赤ちゃん。
どんなに頑張っても駄目で、不妊治療を休んでいた月だった。棺に入ってる祖母の傍で遺影を眺めていた時、ふと感じた勘。
「おかあさん、何かねおなかに赤ちゃんがいる気がするんだー」
と、私は母に話した。
こんな時に不謹慎かとも思ったけれど、その思いは募る一方で、勘の強い母も「そうなんじゃない」と。
私は、祖母が私を悲しませるわけがない。私を置いて天国へ行って私がどんなに悲しいか…きっとおばあちゃんなら、そんなことさせないんじゃないか…って同時に思った。
そして、葬儀から10日ほど経った時、私の妊娠が判明。
私の勘は現実のものとなった。
初めての妊娠は、悪阻との闘い。体重も10キロ落ちた。
久しぶりに痙攣を起こしたりして、トラブル続出。
けれど、祖母の葬儀から8ヵ月後のこと。
元気な赤ちゃんが誕生。超がつくほどのスピード出産で産まれた赤ちゃんは、祖母の生まれ変わりなのか、女の子だった。
祖母に抱いて欲しかった私の娘。ひ孫を抱くその笑顔はとても良いものだったに違いない。
赤ちゃんは、色が白くてとてもかわいい女の子。
今では誰に似たのか、心根の優しい可愛らしい5歳児となり、幼稚園へ元気に通っている。
おばあちゃん、ひ孫はどうねぇ?かわいいでしょう?
おばあちゃんに良く似たしっかり者だよ。
おばあちゃん、最後に素敵なプレゼントありがとうね。
おばあちゃん、私は今、幸せだよっ♪

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