持田ヘルスケア株式会社

小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A

小児科医に聞く 赤ちゃんのお肌Q&A

第5回「アトピー性皮膚炎」その2 アトピーになったら

病院での「アトピー」治療と自宅でのケア。ママやパパにできることは?

「病院での治療」と「ステロイド」

残念ながら、「アトピー」の原因はまだはっきりとわかっていません。原因がはっきりとわからない以上、根本的な治療ができませんから、「対処療法」といっていちばん困っている症状(炎症とかゆみ)を抑える治療をします。治療には、ステロイドの含まれる軟膏と非ステロイド系の軟膏を組み合わせながら使うのが一般的です。処方される薬や治療方法に疑問を感じたら、医師に何でも質問をぶつけて相談しながら治療を受けるといいですよ。「ステロイド」は、強さによって5段階に分かれていますが、薬というものは、長く使いつづけると次第に効かなくなる傾向があるので、最初はいちばん弱いものをさらに薄めて使うのが一般的です。薬をもらうときは、処方された薬がどの段階のものなのか、先生によく確認し、理解したうえで使用しましょう。副作用などに不安をもつ方も多いと思いますが、用法をきちんと守れば、「ステロイド」はそれほどこわい薬ではありません。

「アトピー」にかかったら、小児科?皮膚科?

皮膚科と小児科とでは治療方針が多少異なります。皮膚科では、ガサガサな皮膚をツルツルできれいな状態に戻す、つまり皮膚そのものの回復を最終目的に据えることが多いようです。一方小児科では、かゆみを取り除くことを優先させますので、皮膚のガサガサが全くなくなるという状態は目指さないことも多いです。従って、「ステロイド」の使い方に関しても双方では多少異なっていると思います。ちなみに小児科では、弱いタイプのステロイドをさらに白色軟膏で薄めるという使い方もします。また、皮膚科にかかるにせよ、小児科にかかるにせよ、よいコミュニケーションをとれる医師を見つけることが「アトピー」の治療への近道。そして、赤ちゃんのいちばんの理解者は、私たち専門家ではなく、いつも身近にいるママやパパです。医学の専門的な知識がなくても、ママが何となく感じている違和感や不安は、意外と重要なファクターであることが少なくありません。気になることがあったら、どんな些細なことでも、医師に話してみてください。

自宅でのケア

赤ちゃんがかゆがっているときは、冷やしてあげるのもひとつの手段。「アトピー」に限らず、かゆみの患部には血液が集まり温まっていますから、そこを冷やしてあげればかゆみを散らすことができます。また、ふだんから皮膚を清潔に保つことも大切です。冬場は、乾燥が目立つ子には保湿剤を使って皮膚の保護をしてあげてください。また、衣類に関しても、刺激のある素材の服は避けたほうがいいでしょう。「アトピー」の子にとっていちばんつらいのは、かゆみと炎症です。それを治してあげることを最大の目標にすべきでしょう。そのために、どの強さの薬を使うか、よく医師と相談しながら決めていくとよいと思います。

監修の先生のプロフィール

加部一彦(かべかずひこ)

加部一彦(かべかずひこ)

  • 埼玉医大総合医療センター新生児科教授、小児科医。
  • 新生児集中治療室(NICU)で、主に早産のために小さく生まれたり、生まれてすぐに何らかの病気をかかえ、入院となった赤ちゃんのお世話を生業としている他、医療安全や病院建築など幅広い領域に関心を持って活動中。すでに社会人となった3人の息子達とはSNSで情報交換したり、時には飲みに行ったりと、「オトナの付き合い」ができる様になった事を喜んでいる。著書に『新生児医療は、いま』(岩波書店)、『障害を持つ子を産むということ』(中央法規出版)など。

石井のぞみ(いしいのぞみ)

石井のぞみ(いしいのぞみ)

  • 東京女子医科大学医学部卒業。現在、愛育病院小児科勤務。01年12月に女児を出産、02年4月より職場復帰。自分が子どもを持ったことで、よりママ・パパの気持ちがわかるようになり、具体的なアドバイスができるようになったと話す。近年の小児科は、心の問題の比重が大きくなってきている。精神的な面から体の不調を訴える子どもたちとママ・パパの力になっていければと考えている。

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